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藤江幸宏写真事務所 


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 YUKIHIRO FUJIE PROFILE


藤江 幸宏  プロフィール
Secret
Profile


以下に記載のプロフィールは、極めて私的な、私小説まがい(?)のプロフィールです。
時間を持て余してる方、カメラマン又は藤江幸宏個人に興味のある方以外には、全く退屈する内容です!

お仕事用のプロフィールが必要の方は別欄の《  》のプロフィールをご覧下さい。
裏プロフィールは続き物です。その1から順にお読みください。



その12  爽やかな風



「あの…本当に宛先はこれでいいんですか?」

 船便でカナダへ送る荷物の発送当日、
現場責任者のSさんが、書類と僕の顔を交互に見なが らそう訊いた。
 
「…はい、構いませんからそれで送って下さい」
 
僕にはそれ以上答えようが無かった…

数週間前に、引越し業者から預かっていた数枚の書類。
僕は、その中で最後まで記入せず、空けたままにしておいた送り先の欄に

「カナダ・ブリティッシュコロンビア州・バンクーバーの港止め」

・・・と記入して、書類を手渡した。




 1996年6月

 僕達は長年の夢だった北米大陸への移住を、ついに現実の物にしようとしていた。
 だが、この時点で決まっていたのは・・・

行き先が《カナダ》という事だけ

その後、向うでどういう生活が始まり、
どうやって生活を成り立たせて行くのかと言う肝心の部分は、
まだまだぼやけたままだった。

 大体、僕達には住む場所も決まっていないのだから、
その先にあるカナダでの新しい生活の事まで、決まるはずが無い。
 
普通、家族単位でカナダへ移住する場合、
まず最初にしなければいけないのは、ビザを申請するという事。
短期の観光旅行と違い、移住という事になると、ビザが無ければ話しにならない。

勉強を主目的にしているなら学生ビザ
仕事を主目的にしているのなら就労ビザ
永住したいのなら永住権

その目的や条件に合わせた滞在資格を申し込み
無事に書類審査や面接をパスすれば、
一度カナダへ渡り、正式にビザを取得する。

そして、ホテル住まい等をしながら、じっくりと住居を探す。

良い物件が見つかり、無事に契約を済ませると、
また日本に戻り、移住の準備を整え、
日程を見て新居へと船便で荷物を送る。

荷物のカナダ到着予定日に合わせ、本人達は飛行機で再びカナダへ渡り、
移住の手続きを済ませ、カナダでの新しい生活を開始する
…というのが一般なパターンだ。



 ・・・だが、

僕達の移住は、大幅にこの順序を入れ換えてしまった。




 まず最初に・・・
日本で住んでいたマンションを、家具や電化製品と一緒に売ってしまい、
カナダでも必要な最低限の荷物だけを船便として発送する。
当然、送り先となる住所が決まって無いので港止めにするしかない。

その後直ぐ、僕達は最低限のキャンプ用品と撮影用機材を持って、飛行機でカナダへと渡る。

この時点で持っているのは、短期滞在用の《観光ビザ》だけだ。
 

カナダに着いてから、船便が届くまでに家を見付け、
約2ヶ月でバンクーバー港に船便が届く頃には、
既に明るいカナダでの生活設計が、しっかりと目の前で輝いている…

…んじゃないだろうかと、

そんな甘い期待を抱いて、僕達のカナダ移住計画は動き出したのだ。



無謀・・・・と他人は言う

無計画・・・・と笑う奴もいる

無鉄砲・・・・と呆れる人もいた


でも、これは・・・


僕達の挑戦

僕達の夢

僕達が決めた

僕達の人生

誰にどうこう言われる物ではない。





6月30日
アメリカ・サンフランシスコ国際空港で8時間もの長い乗り継ぎを経て、
バンクーバー国際空港に到着したのは、もう夜9時を回った頃だった。

大阪では30度を超え、じっとりとまとわりつくような熱気に見送られての出発だったが
 
ここで僕達を出迎えてくれたのは、ひんやりとした乾いた風だった。

「は〜っ、この風、気持ちいいな〜・・・ついにカナダに来たんだな〜」

僕は無意識のうちに何度か大きく深呼吸をしていた。



十ヶ月ぶりに見たカナダの景色。
 
真っ直ぐに延びるハイウェー、
雄大な牧草地、
大阪で見ていたのと同じ筈なのに、なぜかとんでもなく大きく見える夕陽。
僕は、初めて電車に乗った小さな子供のように、窓の外に流れる景色を眺めていた。


 夏、北国カナダの日暮れは非常に遅い。
西の地平線近くまで降りて来た太陽は、そこからなかなか隠れようとはせず、
東に向かう僕達の車を見送ってくれていた。

ハイウェー99号を南下、十時半を回ると、さすがに辺りは闇に包まれた。

僕達の目的地は、ハイウェーを降りてから細い田舎道を更に一時間ほど走る。
 
少しだけ開けた窓から流れ込む風は、涼しいと言うよりも肌寒さを感じ、
なんとも言えないのどかな緑の匂いがした。

闇に向って延びる一本の道。
おそらく周りには、畑と牧場が広がっているのだが、
ヘッドライトの光の外側は、もう何も見えない。
十ヶ月間大阪のネオンに慣れた僕の目には、久々のカナダの夜は恐ろしく暗く、
まるで暗室のようにさえ思えた。
 
時折、遠くに見える家の光や、忘れた頃にすれ違う対向車のライトが不思議なくらい眩しく感じられ、
見上げた夜空の星が、目にとても優しく思えた。



30年間日本で築いて来た物を全て置いて、僕達は北米の地に渡って来た。

「俺は個人鎖国制だ」と、あれほど拒んでいた北米の地に
慰安旅行で無理やリ連れて行かれた北米の地に
その日から3110日間、憧れ続けて来た北米の地に

今、本当に渡って来た。


バンクーバー国際空港から1時間半ほど走った田舎町。
僕達はここでしばらくホームステイさせてもらいながら新生活をスタートさせる。

でも、もうクタクタだった。

 出発前数週間の超ドタバタ、引っ越しでの大騒動、寝不足と疲れと26時間の長旅、
その上に時差ボケまでが重なって、
僕達はカナダ移住一日目の夜を、死んだように眠った。  



  翌日、僕達が目覚めたのはもう昼前だった。

これからどうするのか、考えなければいけない事は山ほどある。

でも、不思議なほど心はスッキリしていた。

昨日までガーガー鳴り響いていた車の騒音は、もうどこにも聞こえない。
 カーテンの向うからは、小鳥の声が優しく響き、
窓を開けると、木の枝にはリスが走り回っていた。

懐かしいカラッと乾いた爽やかな風が、すーっと吹き込んで来て、
僕は本当にカナダに引っ越して来た事を実感した。
 



**************************




やっと着きました

ついに、ついにカナダに渡って来ました。

本当はこの《裏プロフィール》、まだまだずーーっと続きがあるのです・・・


滞在ビザの問題から永住権取得、カナダでの新生活、
キャンピングトレーラー購入から、猫と一緒の撮影旅行
そしてカナダでの子育て、コマーシャルやウエディング撮影の復活・・・・

そんな事までここに載せると、本が何冊も書けるほどあまりにも長いので、
とりあえず一旦ここで終了です・・・だってこれ、プロフィールですから(笑)。



それにしてもよく続いたものだと思います・・・

インターネットの無かった時代、情報も乏しく、誰に何を相談すれば良いかも分からず
カナダ移住を決断するのは容易ではありませんでした。

本当に海を渡るまで・・・
とても長かったような、短かったような、少し恐ろしいような・・・

そんな複雑な気持を、ウエブサイトを立ち上げ時に何気なく書いてみたのが
この「藤江幸宏プロフィール」でした。


最初はもっと短く、サラッとまとめて書いただけ・・・


・・だったのですが

書いた僕自身が驚く程反響がありまして、その後ウエブサイト更新時に、
加筆・訂正をして少し長文として書き直したのです・・・

・・・・が


またもや、全く予想もしてなかった反響が返って来ました!


日本やカナダ在住の人ならまだ分かるのですが、
さすがネット社会、欧州、南米、オーストラリアと様々な地域の方から感想を頂き
調子に乗ってウエブサイトをリニューアルする度に加筆・訂正を繰り返し、
今回はついに《その12》まで「裏プロフィール」が伸びました(笑)。


プロフィールである以上、当然その中身は全く私的な内容だったにも関わらず、
実に多くの方から感想のメール頂いたり、
励ましや、お問い合わせ等沢山頂きました。

「毎日カレンダーを見てた部分で泣いてしまいました・・・」というメールも頂き、
こちらまで感激し、力をもらい勇気づけられ、本当に感謝しております。


また、若いカメラマンの方、カメラマンを目指している方、アシスタントを希望されている方達に
「どうしてカメラマンになったんですか?」
「どうやったらカメラマンになれますか?」
・・・と、よく質問を受けますので、少しでもその参考になればと思います。


まあ、私のプロフィールは《はちゃめちゃ》で、誰も真似したくもないでしょうが・・・

写真撮影が好きな事、何か自分の撮りたい被写体を見付ける事
簡単には諦めない事・・・ですね。


好奇心・研究心・行動力の無くなった人にはカメラマンは出来ません。


カメラマンを目指している方は、考えてばかりいるよりも
とりあえず行動を開始してみては如何でしょうか。



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