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ラスティー日記 11

○月×日
「はぁ〜あぁ〜〜退屈だ退屈だ…」
旅って言うのは楽しくていいぞー・・・
なんて言ってたくせに、僕にはとっても退屈だ!
ボサボサの旅は一度出発すると、何万キロも車で大移動するんだ。
もちろん僕にはそれがどんなに遠い所なのか、
どんなに大変な距離なのか、そんなこと良く分からないけど
…でも…
毎日、毎日車の窓から見えるのは山ばっかりで…
もうー飽きちゃったよ!
「ふぁ〜〜あぁ〜〜〜だ…」
僕だって旅が始まった頃は、そりゃ興奮したさ、
見たことも無い景色が次から次に現れてさ、
走ってる車のハンドルの輪の中をくぐってみたり、
シートの下を探検したり、いろんなことやってみたさ
…でも、もうみ〜〜んな飽きちゃった。
今の楽しみって言ったら、食べることと、寝ることだけだよ…
「まったくやんなるよ!」

今日もさ、僕はシートの上でスヤスヤと眠ってたんだ。
ポカポカと日差しが暖かくてさ、とっても気持ち良かったんだ。
そしたら…バリボリ、バリボリっていうお菓子を食べる音が聞こえて来たんだ。
僕はもうー驚いて飛び起きたさ
あったりまえだよ!
僕に内緒でお菓子を食べるなんて、そんなの許せるもんか!
僕は急いでキャンキャンの膝の上に飛び乗り、
残りわずかになったお菓子を強引に食べ始めたんだ。

もちろんこぼしたりなんかしないよ、僕はお行儀がいいんだからさ…本当だよ。
あんまり上等のお菓子じゃなかったけど……
まっ、仕方ないか…って感じさ。
お菓子を食べて少しおなかが膨れると、僕はまた眠たくなったんだ
でも、これは僕だけじゃないんだ、キャンキャンだって同じさ。
僕はいいんだよ、まだ子供だからね。
いくら眠くなったって、どんなに寝てたって全然構わないんだよ……僕はね。
…でもさ、許せないのはキャンキャンの奴さ。
だって僕より先に寝ちゃうんだ、しかも僕がいつも昼寝する場所にだよ!
ねっ、ひどいだろ
それでさ腹が立つからガブッて手を齧ってやったり、
耳の所で「フギャー」何て脅かしてみたりしたけど…まったくダメさ
何したって起きゃしない
ほんとにもー図太いんだから、やんなっちゃうよ……
僕は諦めてキャンキャンの上で寝ることにした
仕方ないさ元々ここは僕の場所なんだから。

でも、何だかデコボコしててさ、寝にくいったらありゃしない
おまけに暑いんだよ…とってもね
だって日が当たってて、窓が閉まってて、クーラーが効いてなくて
その上キャンキャンが座布団じゃね……
そりゃ暑いよね
なのにさ、キャンキャンの奴それを全部僕のせいにするんだ…
「暑〜〜い、暑い暑い暑い…もうー、ラスティー暑いじゃないのよ」
何言ってんだ、ここは僕の場所なんだぞ!
そのうえ僕を持ち上げて今度は…
「重い、重い…重〜〜い」
なんて叫ぶんだ、3回もだよ。
僕は決めた、
キャンキャンとは絶交だ!
もうキャンキャンの近くになんか絶対に行ってやらない
もう決めたんだ。
しばらくして、ボサボサが車を止めた。
どうやらガソリンを入れるようだ。
キャンキャンもどこかへ出て行った…
「出て行け、出て行け…みんな出て行っちゃへ」
僕はやっと広くなったシートの上で目一杯大きく伸びをした。
「もう誰にもこのシートは貸してやらないからな」
僕はそう思ったんだ。
バタンッ……
ドアが開いてキャンキャンが戻って来た。
「ん?…あっ…あっ…ア…アイスクリームだ!」
あの右手に見えるのは、紛れも無く僕の大好きなアイスクリームだ!
もう寝てなんかいられない
僕は前のシートに向かって飛び出した
さっき決めた絶交は・・・
とりあえず…まっ、あれを食べてからにしようって、僕はもう一度そう決めたんだ。

キャンキャンがアイスクリームの小さなかけらを左手の上に置くのを見て
僕は思わず立ちあがっていた
そうさ、もう座ってなんかいられるもんか!
アイスクリームのためなら僕は二本足でだって片足でだって立っちゃうんだから
…もう何だってやっちゃうんだから。
「ラスティー、やっぱり暑いときはアイスクリームが一番ね」
ってキャンキャンが言った。
……僕は思った……
「ははーん…暑いと、アイスクリームなんだ…
これからもキャンキャンの上で寝てやろう!」ってね。
アイスクリームを食べた僕はとっても機嫌が良くなっていた。
まあ、たまにはシートくらい貸してやってもいいかな、なんて思っていた。
こういうことが有るなら、旅もなかなかいいもんだな、なんて思ったりしてさ。

すこぶる機嫌の良い僕はキャンキャンの膝の上で、
大きな大きな声でいつまでも「ミャ〜〜」と笑っていた。