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ラスティー日記 7

○月×日
「うぅ〜〜ん、気持ちいい…今日もとってもいい天気だ」
僕は晴れ上がった青空を見上げ、そう呟いた。
キャンキャンとボサボサが言っていた《旅》が今日から始まるんだ。
「でも、一体旅って何だろう?…美味しいんだろうか?」
僕は窓の外を眺めながら、そんなことを考えていた。
……ガチャッ……
ドアが開いてボサボサが起きて来た。
今日は、いつもより随分早い。
しばらくすると、今度はキャンキャンが起きて来た。
これまたかなり早い。
僕は思った…
「はは〜ん…旅って言うのは早起きすることだ」ってね。
早起きしたのはいいが、なんだかドタバタ、ドタバタやたらと忙しい。
二人して大きな荷物を抱えて、あっちへこっちへ行ったり来たり、
一体何してるんだろう?
僕はいつものように窓辺の特等席でひなたぼっこをしながら、
二人の様子をジーッと見てたんだ。
しばらくしてキャンキャンがやって来て、
いきなり僕にこんな恐ろしいことを言い出した…
「ラスティーも少しは手伝ったらどう……
まったく、こっちは猫の手も借りたいくらいなんだからね」
そんなこと言われても貸せるわけ無いじゃないか、
そんなの考えただけでも痛そうだ。
僕はチラッと自分の手を見た後、
少し怖くなってテーブルの下に隠れることにした。
「ラスティー……ラスティー……」
遠くの方から僕を呼ぶ声が聞こえて来た。
どうやらまた眠っていたらしい。
僕はまだ少しボケた頭を2回程振ってから、
急いで階段を降りて行った。
玄関で待っていたボサボサが僕を抱き上げ
「さーいよいよ旅の始まりだぞ、お前にとって初めての旅だ
準備はいいか?」・・・って聞いた。
「…あれっ?おかしいなあ、旅って早起きのことじゃないんだ。
だって僕は今起きたんだから
もしかして……
うん、やっぱり旅って食べ物のことかもしれないな」
そう思った僕は、途端に元気が沸いて来て、急いで車に乗り込んだ。

久しぶりに乗る車は、何だかワクワクしてとても楽しかった。
「もしかしたら、これが旅なのかな?」
ガタゴト、ガタゴト車が揺れても、もう怖くなんかないぞ!
もうシートの下に隠れたりなんかしないし、
反対から来る車に飛びつこうなんてしないさ…
…ただ、一つだけ僕が気になるのは
車の後ろに引っ張ってる大きな箱なんだ。
前に車に乗った時には、あんな物くっ付いて無かったのに
もしかしてあれが旅なのかな?
あんまり美味しそうには見えないけどな…
窓の外には見たことの無い山や川が次々に現れては消えて行った。
キャンキャンとボサボサは窓の外を指差して、何やら真剣な顔で話込んでいる。
車の中はやたらと荷物が多くて、走り回ったり出来やしないんだ。
仕方が無いから僕もしばらくの間は流れていく景色を見たり、
積み上げられた荷物によじ登って遊んだりしたけどさ
どれもこれも直ぐに飽きて寝ちゃったよ……

どれくらい寝てたんだろう…
吹き込んで来る風が急に冷たく感じて僕は目が覚めた。
「おいっラスティーいつまで寝てるんだ。もう着いたんだぞ」
僕達を乗せた車は、もう森のキャンプ場の中にいた。
僕は慌ててキャンキャンの肩によじ登り、辺りを見渡した。

「凄い…こんな景色見たの初めてだ」
僕は興奮して思わず叫んでいた
だって、空がとっても広くって、
山がどこまでも続いていて、
風がビュービュー吹いて来ても、
とっても気持ちいいんだ…
怖くなんてあるもんか!
「どう?…旅に来て良かったでしょ」
キャンキャンが優しい声で言った。
僕は大きく大きく息を吸い込んでから、
遠くの山に向かって「ミャ〜〜」と元気良く鳴いた。