ラスティー日記 6



○月×日


 とってもいい天気だった…

僕は昨日怒られたこともすっかり忘れて、とても気分が良かった。

 …でも、

直ぐにまた気分が悪くなったんだ。

だって、キャンキャンとボサボサは今日もあんまり遊んでくれないんだ。

 
 キャンキャンは昨日と同じ、あっちへ行ったりこっちへ行ったり忙しそうだし、
ボサボサはたまに部屋から出て来ても、本ばかり読んでる。

 「もーう二人とも、一体どうしちゃったんだよ」
 
 僕はまた考えたんだ…

 昨日はいきなり走り回ったから怒られたんだ、
きっとそうだ

・・・だったら今日は少しづつ目立たないように近づいて行こう!

それならきっと大丈夫だ!

僕だって、ちゃんと考えてんだから。


 
 ボサボサがソファーに座って本を読み始めた。
 
「よーっし…」

 僕は走り出したい気持ちを押さえてゆっくり静かに近づいた。
まだボサボサは気づいちゃいない
僕はそーっと、そーっとソファーの後ろ側からよじ登りボサボサの様子を見た

珍しく真剣な顔だ

 「へへへ…このまま、顔めがけてジャンプしたら……きっと驚くだろうな…」
 
ボサボサの驚いた顔を思い浮かべて、
僕は一人ニヤニヤ、ニヤニヤ嬉しくなって来た……

「いや…だめだ、だめだ……今日は静かに近寄るんだった」

僕はボサボサの足元から本の方に向かってゆっくりと歩き出した。
でも、ボサボサはチラッと僕を見ただけで、
また本を読み出した。

時々思い出したように僕の頭を撫でてくれるけど、
それだけじゃつまんないや!





 僕は面白くないんで、ボサボサの脚の上を行ったり来たりした。
このまま脚の上でふて寝してしまおうかと思った時、
目の前に変わった物が有るのに気が付いたんだ。  
 
パラパラ、パラパラ右へ左へ動いて何だかとっても面白そうだ
僕はよーく狙いを定めておいて・・・

バッと一気に飛びついた!

 「この野郎ー逃がすもんか!」

 そう思った僕は、力いっぱいガブッガブッて2回噛みついてやったんだ。
 「へへへ…やったぞー」

 …そう思った時、
僕はまた背が高くなったのに気が付いた
…いや、また持ち上げられていた。

 「旅の資料に目を通さなきゃいけないのに、
こんなに破いたら読めないじゃないか……まったくもうー…」
 ボサボサが少し悲しそうな声で言った。

 「旅の資料?……」

 何のことだか良く分からなかった。
ただボサボサが怒り出す前に、僕は急いでその場を逃げ出した。

 
 気が付くと僕はボサボサの部屋の前にいた。

 家中自由に走り回っている僕にとって、
たった一箇所入ったことの無い場所がこの部屋だった。
いつもピッタリとドアが閉めてあって、
僕がどんなに鳴いたって中に入れてくれない秘密の場所なんだ。





 「…ん?……でも…今日はほんの少しだけ中が見えるぞ…」
 
いつもピッタリと閉まってるドアが、今日は閉まってない!

僕は直ぐに思ったさ、「忍び込もう」ってね。

迷ったりなんかするもんか、遊んでくれないのがいけないんだ!
 
一生懸命足を踏ん張り、僕が頭をグイッと押し出すと…
ドアは静かに少しだけ開いた。

 「びっくりしたー…」





 見たことの無い物ばっかりなんだもん。
僕は直ぐに部屋中の探検を始めた。
でもここに有るのは、齧ってみても硬くって美味しくない物ばっかりだ。
面白い物なんて何にも有りャしない。
それなのにいつもドアを閉めて僕を入れてくれないのはどう言うことなんだ?
僕が考え込んだその時、僕はまたまた背が高くなっていた。

 「見つかったー……」

 僕は正直とっても怖かった…きっと思いきり怒られると思ってビクビクしてた
…でも、ボサボサは怒らずにゆっくりと話を始めたんだ。
 
「いいか…俺達は今、明日からの旅の準備で忙しいんだ。
だから、山に着いたらいっぱい遊んでやるからな」
 
まただよ、また…『旅の準備』って一体何なんだよ、
しかも明日からなんて、僕は何にも聞いてないぞ…
 




ボサボサがもう一度僕の顔を見た。
僕は何だか良く意味の分からないまま、
ボサボサの腕の中で小さく「ミャ〜〜」と鳴いた。