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いざカナダへ!
《 その7 憧れの地に 》
時差を飛び越えての、21時間の移動は結構きつい!
しかし長年の夢だった、カナダ移住の第1歩だ、
出来るだけ、気持良く、元気に踏み出したい。
・・・と、思ったのも束の間
いきなり問題が発生した。
関西空港で預けた三脚がどこにも無いのだ。
もちろんクレイムタッグは持っているが、カナダやアメリカの空港で、
荷物と札の番号確認をしている所など、いままでに一度も見た事が無いので、
札など持っていてもほとんど何の役にも立ちはしない。
空港職員に訊いても、ここには届いてないのでアメリカの乗り継ぎの時点で無くなったのだと言う。
アメリカ側に問い合わせれば、ここには無いからカナダで無くなったと言う。
両方の話を訊けば、関西空港で盗られたんだと言い出し、
結局「自分達に責任は無い」と言うのが、それぞれの共通した意見だった。
僕にしてみれば、どこの空港で無くなったのか何て事はこの際重要ではなく、
無くした航空会社が責任を持って対応してくれれば良いのだが…
「昨日、私は休みだったから知らない」
「最初に受け取ったのは私じゃない」
「私はたまたま苦情を受けただけで、あなたにそんなに文句を言われる筋合いは無い」
…と、このての意味の無いやり取りがいつまでも続く。
当然、僕は個人を責めているつもりは無い、ユナイテッド航空の代表と話してるつもりなのだが…
この人達の頭の中には、会社の責任と自分の責任は全く別物で、
いかに自分の前に現れた問題を他人に回してしまうかという事しかないらしい。
時間ばかりが過ぎて行き、仕方なく僕は紛失届の書類を提出し、
航空会社からの当てにならない連絡が来るのを待つ事にした。
こうして僕達のカナダ移住の第一歩は、少し嫌な印象で始まった。
国際線からの出口には、カナダ西部に撮影に来る度に居候させてもらっている大の恩人、
ステイキュー家のロイ、ジョンそれと息子のポールの三人が迎えに来てくれていた。
今回、日本の知人達には『カナダに移住する』と、言っては来たものの、
これからの予定も、住む場所も決まっていない僕達は、
途中のサンフランシスコ国際空港から電話を入れ、
『ついにカナダに移住して来た…荷物が山の様に有るんだ…なんとか助けてくれないか…』
・・・と、少し大袈裟に話しておいたのだ。
彼らは僕達が引っ越して来たと訊いて、乗用車とトラックの二台で、
空港まで迎えに来てくれていた。
6月30日
大阪を出発した時は、既に30度を超え、
じっとりとまとわりつくような生暖かな熱気に見送ってもらっての出発だったが・・・
空港を1歩出た僕達を出迎えてくれたのは、ひんやりした乾いた風だった。
「ふ〜っ、は〜っ・・・ついにカナダに来たんだ」
僕は無意識のうちに何度か大きく深呼吸をしていた。
十ヶ月ぶりに見たカナダの景色。
真っ直ぐに延びるハイウェー、雄大な牧草地、
大阪で見ていたのと同じ筈なのに、なぜかとんでもなく大きく見える夕陽。
僕は、初めて電車に乗った小さな子供のように、窓の外に流れる景色を眺めていた。
夏、北国カナダの日暮れは非常に遅い。
だが時計は既に十時半を回り、僕達の乗った車は、直ぐに闇に包まれた。
ハイウェー99号線を降りてからも、ステイキュー家までは更に一時間近くかかる。
闇に向って延びる一本の道。
おそらく周りには、畑と牧場が広がっているのだが、
ヘッドライトの光の外側は、もう何も見えない。
十ヶ月間大阪のネオンに慣れた僕の目には、久々のカナダの夜は恐ろしく暗く、
まるで暗室のように思えた。
時折、遠くに見える家の光や、忘れた頃にすれ違う対向車のライトが不思議なくらい眩しく感じられ、
見上げた夜空の星が、目にとても優しく思えた。
30年間日本で築いて来た物を全て置いて、僕達は北米の地に渡って来た。
あれほど拒んでいた北米の地に
慰安旅行で無理やリ連れて行かれた北米の地に
その日から3110日間、憧れ続けて来た北米の地に
今、本当に渡って来た。
出発前のドタバタの疲れと、二十一時間の長旅、その上時差ぼけまでが重なって、
僕達はカナダ移住一日目の夜を、死んだように眠った。
翌日、僕達が目覚めたのはもう昼前だった。
昨日までガーガー鳴り響いていた車の騒音は、もうどこにも聞こえない。
カーテンの向うからは、小鳥の声が優しく響き、
窓を開けると、木の枝にはリスが走り回っていた。
懐かしいカラッと乾いた爽やかな風が、すーっと吹き込んで来て、
僕は本当にカナダに引っ越して来た事を実感した。
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とうとうカナダに移住して来ました。
とりあえずこのお話はここで一旦終了させて頂きます。
また、何かの機会があればこの続きを書いて行こうとおもいますが・・・
当面は、他のエッセー・ギャラリーその他のページでお楽しみ下さい。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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